先日から旦那さんとお父さんは仏壇蒔絵の上絵にとりかかっている

今使っている上絵を描く蒔絵筆は毛先が傷んできています
仏壇の部品は多く、今回は仏壇３本分を仕上げているので
何日もかかり、この筆では仕事がはかどらないので新調することにしました

前にも紹介した行きつけの漆屋さんで蒔絵筆を買ってきた旦那さん
上機嫌で帰ってきて３本のうち１本の蒔絵筆をさし出し
｢これ、なんやと思う？｣
えっ、なに？・・・もっもっもしかして、こっこっこの黒い毛は
あの最高級蒔絵筆、幻の本根朱！！

本根朱(ほんねじ)蒔絵筆とはクマネズミの毛を使った筆で今はなかなか
手に入らなく１本４万円ほどするらしい
いつも使っている筆は根朱替(ねじがわり)猫の毛で１本４千円ほど

｢これどーしたん、買ったん？｣
｢ほうや、買ったんや｣
・・・その顔は、ウソだ！　旦那さんはウソがヘタクソです

実は漆屋さんで、いつものように漆談義に花が咲き
本根朱蒔絵筆の話になり、おじさんが１本だけあるから
見せてあげると出してきたところ、毛が割れていた

｢ありゃ、こんなん売りもんにならんな、あげる｣（おじさん）
｢えっ！　いいがぁ｣（旦那さん）
よく見ると毛先は大丈夫のようで
｢お湯にでも浸けときゃなおらんか、使ってみて｣（おじさん）
｢おっちゃん、ありがと｣（旦那さん）
というやり取りがあったみたい

万年筆の蒔絵の上絵を描くのにずっーと前からほしかったけど
高くて手が出ないので、すごくうれしかったみたいです

旦那さんは帰り道ずっーと蒔絵筆を舐めてきて必死に直したのか
私が見たときはまっすぐな毛になっていた
ぬるま湯であらい乾いても割れてきてないので使えるかも

その後、油を筆の根元にしっかり浸み込ませ使える状態にしました
でも、蒔絵筆は消耗品で毛先が悪くなると使えなくなるので
もったいなくて使えないと言っている
それじゃぁ宝の持ち腐れ　使おーよ

漆屋さんのおじさんありがとう
大事に使います
　　　上：いつも上絵を書くときに使っている筆　
　　　　　　黒軸根朱替(ねじがわり)猫の毛で１本４千円位
　　　下：今回頂いた幻の筆
　　　　　　赤軸本根朱(ほんねじ)クマネズミの毛で１本４万円位